久しぶりにガツンと一発食らった作品。
子供が生まれなくなった未来において人類は発狂し、絶望し、そして崩壊へ向かってひた走っている世界、その中で命の大切さ、素晴らしさを思わず目を背けたくなるほどのリアルな殺戮シーンとともに描いている。
ハンドィカメラから撮ったような一人称視点から、冷酷なまでの客観性でひたすら撮り続けるこの作品に、明快な救いは存在しないが、アルフォンソ・キュアロン監督は、まさに近未来の荒廃した社会の中に生まれたキリストの誕生というテーマを描きたかったのかもしれない。
今後もこの監督には注目していよう。