物理的に遠くにいようとも、近くにいようとも人と人とは通じ合えないというテーマを、ひとつの猟銃に絡めてうまく描いている。各役者らの演技も一流で映画の中にじょじょに惹きこまれてしまうあたりはさすがの作品。
しかし違和感もある、結局これらの一連の出来事の発端が母の自殺であるなら、どうしても母の当時の心情や家族の関係などが描かれないことには、凛子と父親との壁を素直に理解できないのだ。
これは二人の兄弟の屈折した感情の源もしかりだし、ベルナルが何故あそこまで強硬な手段に出たのかについても然り。後者は人種差別によるところなのかもしれないが、それであればもう少し事前の描写が欲しい。
以前「クラッシュ」を見た時はやりきれない感情がこみあげてきたものだが、バベルはそこまでの感慨は生まれなかった。
良い作品であることは間違いないが、何かが欠けている気がしてならない、いやこれこそバベルということなのだろうか・・